Macで深宇宙天体を撮影するアプリを作った動機

現在の深宇宙天体撮影は、CMOSカメラの使用が一般的になっており、赤道儀やフォーカサー、フィルターホイールを含めてコンピュータで一括制御して撮影することが標準的になっている。Windows PCであれば、ASCOMというデバイスとアプリを仲介するシステムがあり、ASCOMに対応したアプリがあります。Windowsは独自のAPIであるため、Windowsの機能を生かしたアプリが作られていると思います。(Windowsの天体撮影アプリを使ったことがないので断定できません。)

一方、macOSには、ASCOMに対応するシステムとしてINDIがあり、INDIに対応したアプリとしてオープンソースのKStarsやCCDCielなどがあります。しかしながら、オープンソースのアプリはmacOSの低レベルAPIがLinuxとほぼ同じであることから、ソースコードレベルで同じに作られ、UIはQtなどが使われmacOS標準とは違うものとなり、macOSアプリとはしては一体感が損なわれ、またmacOS及びApple社の提供する様々なAPIが使われずもったいないと感じていた。

さらに、簡単に複数カメラで同時撮影したい、1台のPCで複数の撮影システム(複数の赤道儀)を同時制御できたらいいなと思っていた。なお、複数カメラで同時撮影については、KStarsが2024年8月3日のv3.7.2リリースから対応しています。

これらのことから、macOS専用の深宇宙天体撮影アプリとして、ParsecDeepSkyの開発を行いリリースを行いました。開発にあたっては開発言語としてSwiftを採用し、UIについてはSwiftUI、星図表示の他、必要なところにはGPUを活用することとした。

次の記事からは、Macで深宇宙天体撮影を行うための準備として、Raspberry PiへUbuntuのインストールとセットアップなどを記事にしていき、Macを使って天体撮影を楽しんでいる方の手助けができればと思っています。